【インタビュー】リーダーが自分と向き合い、組織が変わり始める(2)

リーダーが自分と向き合い、組織が変わり始める(2)
「Lead the Self」から始まる、システムリーダーシップへの可能性

L.E.T.ワークショップを学び、実践する林由美さん(医療機関・管理職)と町田愛さん(一般企業・管理職)。女性管理職のお二人へのインタビューからは、リーダーの内面の変化がやがてチームを動かす可能性を感じさせます。

▼前回の記事はこちらから

関係の質の変化は、やがて組織風土へ

林さん:

実は今、ゴードン・モデルの考え方をチーム内にどのように広げていけばいいかを考えています。これまで部下たちが受ける研修は、一人ひとりの自由意志を尊重し決めてもらっていましたが、L.E.T.ワークショップは今後の私たちの組織にとって必要だと強く感じているからです。現場で看護師が患者さんと関わるシーンや、医師と看護師の打合せのシーンにおいても、ゴードン・モデルがとても機能すると痛感しています。

自分が看護部長でなくなったあとも、組織の文化としてこの関わり方が残るように、メンバーが学び続けられる形を考え始めています。

暮らしとコミュニケーション研究所:

トマス・ゴードン博士は「as you like(あなたの判断を尊重します)」という言葉をよくお話しになっていました。自由意志や主体性はゴードン・モデルの核心でもあるのですが、一方で、組織のリーダーが変わっていく中で、持続的な組織風土をつくることに課題意識を持たれているのですね。

長年にわたり、多くのマネージャーがL.E.T.ワークショップを受講されている企業があります。そこで、新しいマネージャーを対象としたワークショップを進行することがあるのですが、理論を知らないはずの若いマネージャーが、すぐにゴードン・モデルを使うことがあります。それはきっと、その企業の中でゴードン・モデルが提示する効果的なコミュニケーションが根付いているのだと感じます。

町田さん:

私の部署では、他部署の課題を探したり、その課題解決を他部署のメンバーと一緒に行うことがあります。そのため、社内全体にゴードン・モデルが浸透するといいだろうという感覚があります。組織内に、L.E.T.ワークショップを受講されたメンバーが複数名いらっしゃる林さんに伺いたいのですが、そのことで感じる良さはありますか?

林さん:

私以外にL.E.T.ワークショップを受講したのは、私より現場に近い職種をしているマネージャー2名です。彼女たちがワークショップで学んだスキルを実践した結果、患者さんからも同僚からも感謝の声が挙がっているのを耳にしています。さらに、彼女たちからは「ゴードン・モデルを定期的に確認して理解を深めたいので、自主的な勉強会を計画させてほしい」と提案がありました。

マネージャーには、部下との1on1ミーティングや目標設定・進捗管理など、いわゆるマネジメント業務を大切だと理解はしていても、具体的に部下とどう関わればよいのか自信のない人も多いと感じます。部下たちが問題を抱えていることに気づいていても、効果的な関わり方を知らないが故に、悩むマネージャーも多いのではないでしょうか。ですので、マネージャー同士で勉強し合う機会がうまれ、私はそれを見守れるようになると、よりよいと感じています。

暮らしとコミュニケーション研究所:

L.E.T.ワークショップに参加されたマネージャーの方からよく聞く話があります。受講前はうまく耳を傾けられなかった部下の話に、しっかりと向き合いアクティブ・リスニングをしてみると、「〇〇さんに話を聞いてもらえてありがたかったです」と部下がすっきりした表情になることがある、というものです。「解決する」のではなく「聞く」ことこそが、チームメンバーにとって大きな援助になる可能性があります。

アクティブ・リスニングとは

相手が話している内容を理解し、相手に理解した内容を返していくリスニングの技法です。

アクティブ・リスニングを行なうことで、相手は自分のメッセージが理解されたことを確認できます。

もし理解していなくても、相手はそれを正す機会を得ることができます。

重要なのは、このアクティブ・リスニングは、あなたが相手の考えや感情を受容していることを伝えるものであるということです。

*この説明文は、ライセンス会社であるセカンド・ウィンド株式会社ホームページより引用しています。

林さん:

町田さんの部署では、他部署の方とコミュニケーションをとる業務が多いようですが、人によってコミュニケーションをうまくとれたり、とれなかったりしませんか?

町田さん:

それぞれ自己流と言う感じで、摩擦が生じることもあります。みんな試行錯誤していて、効果的なコミュニケーションを学ぶことの必要性は高いと感じています。月に一度、部全体で様々なトピックを相互に学ぶ勉強会を実施していて、ちょうど前回の勉強会で「サーバントリーダーシップ」など、いろいろなタイプのリーダーシップについて何が効果的なのか、話し合う機会がありました。次の勉強会は私が担当なので、L.E.T.のメソッドを紹介してみようと考えています。

暮らしとコミュニケーション研究所:

町田さんは部署のお仕事柄、ゴードン・モデルが有効に扱われるシーンが多そうです。林さんの現場では、患者さんや同僚の方との関わりにゴードン・モデルが機能しそうです。メンバーの中で理論の共有や学び合いが起きていて、今後のチームの行方が楽しみですね。また、ぜひこういった振り返りの機会をご一緒できればと思います。

ゴードン・モデルの真髄は、自分自身や他者の感情、起きている出来事を丁寧に見つめる姿勢にあるように思います。そして、その姿勢を持ちながら自分と他者を互いに理解し合うことで、やがて対立を解く能力がメンバーのみならず組織全体に育まれていきます。リーダーの変化により組織の風土が醸成されていく様子を、お二人のインタビューから垣間見れました。本質的でたくましい組織風土がつくられていくと嬉しく思います。

もくじ